変化の推進者の役割は

*この記事は前回に続くパート2です。パート1はこちらからご覧いただけます

執筆:コレット・マーティン・ワイルド(国際ロータリー、戦略開発&変革担当チーム)
補足説明:パム・ラッセル(第26ゾーンRRFC)

  1. リソース:質問や資料の問い合わせ先を知らせる。

パム・ラッセル: 地区によって方法はさまざまです。既に財団補助金に詳しい人、または研修を受けた人を集めて支援チームを作り、各チームメンバーがいくつかのクラブを担当している地区もあります。このチームは、クラブの補助金活動の立案や、複数クラブによる大型補助金での協力を助けます。チームの代わりに、ガバナー補佐がこの役割を担う場合もあります。活動数が多い場合は、補助金専門の担当者を決めるのもよいでしょう。

  1. 実行計画:実行計画では、ビジョンを実現させる(つまり、変化を上手く実現させる)ために必要な研修、インセンティブ、伝えるべき要点、リソース、担当者を明確に決める。

パム・ラッセル: 財団の補助金モデル変更に伴って、慎重な計画立案とその実行が必要でした。第26ゾーンでは、新補助金の2年目にグローバル補助金の利用が大幅に増えました。計画の実行には時間がかかりましたが、ロータリアンが実施する奉仕プロジェクトに成果が表れています。補助金活動にはそれぞれのストーリーがあります。クラブと地区がそのストーリーを伝えれば、クラブ強化につながり、また多くの人にロータリーの活動を知ってもらえるでしょう。

以上5つの要素をご紹介しましたが、いずれかの要素が欠けると次のような結果が予想されます。

  • 混乱
  • 不安
  • ゆっくりとした変化
  • 不満
  • 誤ったスタート

今後、新しい変化を取り入れる際は、上記の5要素を取り入れることで、新しいプログラム/手続きをもっと効果的に導入できるはずです。中にはそれほどあらたまった対応を必要としない変化もあるかもしれませんが、未来への前進にあたり、これらの情報が参考となることを願っております。

変化の推進者の役割は

*変化推進に関するこの記事は2部構成になっています。パート2は来週掲載されます。

執筆:コレット・マーティン・ワイルド(国際ロータリー、戦略開発&変化担当チーム)
補足説明:パム・ラッセル(第26ゾーンRRFC)

現代社会は目まぐるしく変化しています。変化は避けることができず、中には対応が難しい変化もありますが、ロータリーもそうした変化に対応していかなければなりません。

変化の推進者の役割は、ビジョンを明確に説明すること、情報とリソースを提供すること、計画を立てること、人びとの声に耳を傾けることです。地域リーダーである皆さまは、変化の推進者となることが頻繁にあるでしょう。推進者の役割を担うことになったら、まずは何に取りかかるべきでしょうか?

ここでご紹介する枠組みは、変化への抵抗が予想される場合や、人びとがスムーズに変化に対応できるように支援する場合に役立ちます。

新しいプログラムや手続きを導入する際は、次の5要素を考慮しましょう。

  1. ビジョン:変更後の新しいプログラムや手続きはどのようなものか?

パム・ラッセル: 地区リーダーがビジョンを明確に定義し、あらゆる場面でそれをしっかり説明することが重要です。会長エレクト研修セミナー(PETS)、地区研修・協議会、補助金管理セミナー、地区ロータリー財団セミナー、地区ガバナーの公式訪問など、さまざまな説明の機会があります。ロータリアンがビジョンを理解すれば、それを念頭において補助金活動を計画したり、クラブの戦略計画を立てられます。

  1. スキル:変化の導入を担当する人は、そのためのスキルを備えているか?備えていない場合、必要なスキルをどう身につけられるか?

パム・ラッセル:財団の補助金モデルが変わった際、第26ゾーンではさまざまなロータリアンに協力してもらいました。地区を対象に複数の研修会を行い、試験地区のロータリー財団委員長には未来の夢移行コーディネーターとして地区リーダーのスキル向上を助けてもらいました。

移行を成功させるには、継続性のある計画が不可欠です。どんなに入念にチームの研修を行っても、誰かが急に辞任した場合に備えておく必要があります。実際に、任期満了前に役職を離れなければならなくなった人が何名かいました。この場合、新リーダーの研修は個別に行うことになります。多くはロータリー財団地域コーディネーター(RRFC)、近隣地区の地区財団委員長、地区内のほかのリーダーが支援を提供してくれます。

  1. インセンティブ:具体的なメリットがわかれば、人はもっと早く変化に適応するもの。「各自にどんなメリットがあるか」を明確に説明する。

パム・ラッセル: グローバル補助金と地区補助金を利用したロータリアンは、ロータリー財団を通じて活動する利点をよく理解しています。こうした利点をほかのロータリアンにも説明することが大切です。第5170地区のロータリアンは毎年、グローバル補助金の受益者を地元に招待しています。招かれた人たちは地区内のクラブを訪問し、地区大会にも出席します。活動の恩恵を受けた人から直接話を聞くと、財団に対するロータリアンの理解も変わってくるものです。
来週は、この記事のパート2をご紹介します。
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ポリオ撲滅活動を支える各国の著名人

著:ガブリエラ・シミナト・クライン(国際ロータリー コミュニケーション・コンサルタント)

ポリオのない世界が「あと少し」に迫った今、多くの著名人がロータリーのポリオ撲滅活動を支援しています。ビル・ゲイツ、アーチー・パンジャビ、ジギー・マーリー、デスモンド・ツツ大司教、ジェーン・グダールをはじめ、「あと少し」キャンペーンに参加する著名人は世界で40名以上います。多くの非営利団体が著名人からのサポートを求める一方、著名人もこれらの団体を支援することに職業的・個人的なメリットを感じています。このような著名人と各団体との協力関係において、実際に著名人が果たす役割とはどのようなものでしょうか。

4月初め、私はブラジルのスパーモデルで2児の母でもある、ポリオ撲滅大使のイザベリ・フォンタナさんに同行する機会がありました。ロータリーがポリオ撲滅活動にもたらすインパクトや、著名人の撲滅大使による活躍ぶりを間近に見ることができた素晴らしい経験でした。

写真:(左から)イザベリ・フォンタナ、ガブリエラ・クライン(RI職員)、モニカ・レイジェス(イザベリ・フォンタナのマネージャー)

写真:(左から)イザベリ・フォンタナ、ガブリエラ・クライン(RI職員)、モニカ・レイジェス(イザベリ・フォンタナのマネージャー)

私がイザベリさんと一緒に仕事をしたのは今回が初めてではなく、彼女が最初にロータリーのポリオ撲滅大使となったときに遡ります。その時、ブラジルの有名ファッションブランドがパーティーを開き、その模様がメディアで大きく紹介されました。「Vogue」「Rolling Stone」「Harper’s Bazaar」といった、普段はロータリーと接点があまりないような有名誌が、ロータリーとポリオ撲滅活動を取り上げたのです。

これがきっかけとなり、「TUFI DUEK」というファッションブランドとのパートナーシップが実現。同ブランドのデザイナー、エドゥ・ポンバルがカスタマイズした「End Polio Now」のTシャツが90,000ドルで落札され、ポリオ撲滅活動へ寄付されました。それ以来、イザベリさんとその関係者のお陰で、ロータリーについての情報を何百万もの人びとに伝えることができるようになりました。

イザベリさんは最近インドでの予防接種活動に参加し、現地の保健従事者を元気付けただけでなく、学校訪問では子どもや先生、保護者に予防接種の重要性を伝えました。この訪問によって、イザベリさん自身がポリオ撲滅についてより深い知識を身につけ、活動への意欲を高めることができたと言います。インドから帰国後、さらなる支援活動の可能性を探し始めたほどです。

ポリオ撲滅大使は、それぞれ自分に合ったやり方で活動を支援しています。例えば、ミュージシャンの撲滅大使は、歌を作曲したり、特別なCDを制作して、その売上をポリオ撲滅キャンペーンに寄付しています。その他の大使は、自ら時間を割いて活動に参加したり、自身の知名度を生かして、著名人やマスコミが集まる行事でポリオ撲滅活動を推進しています。

さらに多くの著名人にポリオ撲滅大使となってサポートしてもらえるよう、皆さまのお力をお貸しください。日本の著名人の中で、ポリオ撲滅活動を支援してくれそうな人を探してみましょう。その際には、その人に具体的にどんな活動をしてほしいのかを含めた計画を立てておくとさらに効果的です。個人的に知っている著名人がいる場合は、エバンストンの担当職員までご連絡ください。国内(または海外)で人気が高く、ソーシャルメディアを広く活用している人、さらに、ポスターの撮影だけでなく、社会貢献に関心の高い人がポリオ撲滅大使として理想的です。また、ロータリーの活動に賛同し、ロータリーとパートナーシップを組んで活動することに関心のある人が理想的です。そのような著名人に協力してもらえれば、ロータリーによるポリオ撲滅の最後の闘いのために、認識の向上を大きく前進させられるに違いありません。

 

最高のプレゼンター(発表者)となるために

presentation-image筆:2015年地域リーダー研修セミナー進行役、マーク・クリーベル

3月の地域リーダー研修セミナーで、RPICのシャーリー・ダウニーさんが、難しい質問への答え方に関するベストプラクティスを紹介しました。自分の発表をより効果的に、聴衆を引きつけるものとするためには、発表内容を聞き手に合わせて調整する必要があります。

人前で発表をすることは決して簡単なことではありませんし、萎縮してしまうこともあるでしょう。そんな恐怖心を取り除き、質の高いプレゼンテーションに仕上げるためのコツを、以下にご紹介します。

  1. 自然な話し方を心がける:大勢を前にしたプレゼンテーションであっても、まるで個人的な会話をしているような話し方を心がけましょう。原稿を読み上げるのはご法度です。
  2. 立ったままの姿勢で話す:可能であればステージ上を自然体で歩きます。演台のところに立って話すことで、厳粛さが伝わる一方、ステージ上に座高の高い椅子を用意し、そこに座ったままのプレゼンテーションもときには効果的です(ビル・ボイド元RI会長が頻繁に採用する方法)。
  3. 声のトーン、話すスピード、声の強弱に変化をつける:聞き手の関心を引き付け、強調したい部分では声のトーンを変え、大きな声ではっきりと話します。強弱のない声で話したり、聞き手に背中を向けることは避けましょう。単に事実やデータだけを紹介するのではなく、ストーリーを語っているのだということを忘れずに。
  4. 聞き手とのアイコンタクトをとる:できるだけ多くの聞き手とアイコンタクトをとりましょう。ステージの照明で聴衆が見えない場合は、視線の先に注意を配り、いかにもアイコンタクトをしているように見せると効果的です。
  5. 適切な場所では視覚資料を使う: グラフ、表、図、写真、ビデオなどの視覚資料はプレゼンテーションを向上させるものですが、使いすぎには注意しましょう。また、視覚資料は、伝えたい話の要点を協調するために利用するものであり、視覚資料だけに注目がいかないように気をつけましょう。スライドに箇条書きなどの文章を表示する場合は、書かれている通りに読み上げないように注意します。より効果的なのは、パワーポイントのスライドを使わずにプレゼンテーションを準備することです。最も大切なのは、発表者の声と動き方であることをお忘れなく。
  6. 一に練習、二に練習: 優れた発表者は、いかにも自然体でプレゼンテーションしているように見えますが、これはかなり多くの時間をかけた練習の結果です。練習でもしっかりと時間を測り、可能であれば質疑応答の時間も確保できるような長さにプレゼンテーションを収めましょう。
  7. プレゼンテーションの構成を明確に:まず、聞き手にプレゼンテーションの主題を説明し、どのような内容の話なのかを説明します。さらに、強調したいポイントについて詳しく説明し、最後にはそれらのポイントをまとめましょう。
  8. 最初から最後まで集中する:プレゼンテーションの主題から逸脱せず、無関係で不必要な内容は避けましょう。自分の個人的体験や人から聞いた逸話などを通じて、伝えたいメッセージを強調するようにします。
  9. 緊張していることが分かる身振りや話し方を避ける:ポケットに手を入れる、腕組みする、手の中で小銭をいじる、「えー」「あー」などの言葉を多用することで、聞き手に緊張が伝わってしまいます。ただし、プレゼンテーションを効果的に見せるために、ある程度の手振りは効果的です。練習する際には、しっかりした目的を持って「動き」を取り入れてみましょう。
  10. 正直かつ簡潔に質問に答える: 質問の答えが分からない場合は、後ほど詳しい情報を提供することを相手に伝えます。適切である場合には、プレゼンテーション後に質問者と直接会って話をするのもよいでしょう。
  11. 聞き手の行動を促す: プレゼンテーションの最後に聞き手の行動を促すメッセージを伝えて、やる気を高めます。例えば、プレゼンテーションの中で触れたベストプラクティスの1つを実行してもらうことや、ある統計数字についてクラブに紹介するように促すなどが考えられます。
  12. 聞き手にお礼を忘れない:自分のプレゼンテーションを聞いてくれたことに対するお礼の気持ちをしっかりと伝えましょう。

綿密に準備しておくことで、プレゼンテーションのスキルと自信を高めることができます。そのためにも、ぜひこの12のコツを実践してみてください。

最後にもう一つ、コツをお伝えします。プレゼンテーション会場に早めに到着して、ステージや利用できるツールなどをあらかじめチェックしておきましょう。マイクをテストしたり、メモや水の置き場所を確認するのも大切です。これらを事前に確認しておけば、本番前に気持ちを落ち着かせることができるでしょう。

忘れてはならないことは、聞き手は皆さんの味方であるということです。緊張してしまうかもしれませんが、聞き手を「他人である聴衆」と思うのではなく、自分のチームの一員であると考えてみましょう。

懇請を成功に導く開拓

あなたは、寄付をお願いするための研修を受け、最初の寄付見込者と連絡を取る準備ができました。相手のことをよく調べ、いよいよ電話をかける段階になったとき、もう少し考えを煮詰める必要があると感じたため、電話を延期しました。しかし、数時間のつもりが数日となり、やがて数カ月が経過してしまいました。「自分は何を待っているのか」と、あなたは自らに問いました。

このような経験は、誰にでも身に覚えのあることですが、しっかりと準備を行えば、大口寄付の懇請はお願いする側にとっても貴重な経験となります。

ファンドレイジングは、「特定 → 開拓 → 懇請 → 資金管理」の4つのステップで行うものですが、多くのファンドレイジング初心者が、第3ステップの「懇請」から始めるというミスを犯してしまいます。懇請者は、大口寄付と年次寄付では何をもって成功とするか、その違いを知っておく必要があります。

年次寄付では、寄付者が寄付を行えば、それが成功と考えられます。一方、大口寄付では、寄付見込者のご家族や母校、あるいは関心があるロータリープロジェクトといった個人的な情報を得ることが成果として考えられ、このような「開拓」作業が大口寄付の懇請におけるカギとなります。開拓には、綿密に練られた質問を見込者に尋ねたり、見込者が実現したいと考えていることに配慮したりして、相手の情報を得る努力が欠かせません。コーヒーに誘うことが最初の一歩となることもあります。

性急に多額の寄付をお願いするよりも先に、寄付見込者が抱いているロータリーへの特別な思い、過去に慈善寄付を行ったときの理由、ロータリーや職業での活動歴や個人的なこと、社会で貢献したいと感じていることなど、相手について知ることから始めましょう。

寄付見込者との最初の面会では、自分の話より、相手の話に耳を傾けてください。可能であれば、ロータリーにおける共通の関心・熱意を基に話をしてもよいでしょう。寄付見込者についての情報を十分に得ることができたら、大口寄付担当職員と協力して、一人ひとりの見込者に応じて、個別の開拓プランを立てることができます。大口寄付のファンドレイジングを行う人の役割とは、面会や電話などによる見込者との連絡を重ねることを通じて、ロータリーを中心とした関係性を築くことです。

見込者とのコミュニケーションを通じて情報収集を続けるうちに、相手が熱意を傾けているロータリーの活動や、お願いに適した寄付額が徐々に分かってきます。そのときこそ、寄付をお願いすべきタイミングです。そろそろ懇請を行う時期だと感じたら、次のヒントにご留意ください。

  • 相手への敬意と賞賛を示す: 例えば、過去におけるロータリーでの奉仕に対して賛辞を述べることができるでしょう。
  • ロータリーに対する誇りを強調する: 例えば、世界中で行われているロータリーの重要な活動に関して、相手が関心を抱いていることに共感を示します。
  • 「寄付」のお願いではなく、「寄付を検討すること」をお願いする: 「寄付してください」という切り口で、対話を始めるべきではありません。
  • 寄付額を明確に伝える
  • 重点分野や基金など、寄付の指定先を明確に伝える
  • あせらずに相手の返答をじっと待つ

以下は、大口寄付の懇請で避けるべき点です。

  • 話しすぎ
  • 冷淡で相手への配慮が感じられない話し方
  • 「すべき」や「したほうがよい」といった表現
  • 謝るような話し方や、当惑したような話し方
  • アイコンタクトの欠如
  • 性急なお願い
  • 寄付をお願いしてから、相手の返事を待たずに話し出すこと

綿密に開拓を行い、見込者の背景情報や慈善目標を把握すれば、相手の目標に適した寄付方法を勧めることができます。魅力的な寄付方法を示せば、相手も快く寄付してくれるでしょう。開拓に力を入れ、自然で効果的な懇請方法を見つけましょう。

日本の関連情報: 日本ファンドレイジング協会「善意の資金」10兆円時代の実現を目指して

ロータリー財団大口寄付担当職員

ジェナ・アーチュリタ(Jenna Archuleta)